我が家と同じような住宅トラブルや工務店倒産の被害は、これまでにも何件も報道されています。
そうしたニュースのコメント欄を見ると、必ずと言っていいほど
「完成保証制度に入っていなかったのが悪い」「完成保証に加入すべきだった」
という意見が多く書かれています。
実は我が家も、工務店が倒産しそうとわかった時に初めて、この完成保証制度の存在を知りました。
必死に調べましたが、時すでに遅く、結局加入することはできませんでした。
そして調べていく中で分かったのは、
完成保証制度は、工務店が倒産した場合に“すべてを保証してくれる魔法の制度ではない”という現実です。
「完成保証があれば安心」
そう思っている方も多いと思いますが、その認識は少しズレていると、今では感じています。
また、昨今の住宅価格高騰の影響もあり、
完成保証制度に加入するだけで数十万円の費用がかかるケースも珍しくありません。
その金額を聞けば、
- そのお金で設備をグレードアップしたい
- 少しでも建築費を抑えたい
そう考えるのは、決して特別なことではなく、ごく普通の感覚だと思います。
正直に言えば、
「こういう考え方だったから、倒産被害に遭ってしまったのかもしれない」
と、今でも自分自身に問いかけることがあります。
だからこそ、この記事では
完成保証制度を「なんとなく安心なもの」としてではなく、仕組みや限界を含めて正しく理解してもらいたい
と思っています。
結論として、私は
完成保証制度は、内容を理解したうえで、できる限り加入したほうがよい制度だと考えています。
この先では、完成保証制度とは何か、どんな種類があり、どこまで保証されるのか。
そして「加入する価値があるのか」を、できるだけ分かりやすく解説していきます。
主要な住宅完成保証(代表的な制度)
住宅完成保証には大きく分けて 「保険タイプ」 と 「エスクロータイプ」 の2種類があります。
それぞれ仕組みやリスクの守り方が根本的に違うため、制度を選ぶ際にはまずこの違いを理解することが重要です。
※制度内容や金額は変更される可能性があるため、必ず最新情報は公式サイトで確認してください。
まずは種類ごとの仕組みの要点を簡単に整理します👇
- 保険タイプ
→ 工務店へ支払ったお金は一度工務店を経由し、倒産時に保証会社から損害の一部を補填する仕組みです。
(倒産後に支払いを補てんするイメージ) - エスクロータイプ
→ 施主が支払ったお金は第三者機関へ預けられ、工事の進捗に応じて支払われる仕組みです。
(そもそもリスク発生を未然に防ぐ構造)
① 住宅あんしん保証(保険タイプ)
- タイプ
保険タイプ
- 対象住宅
請負金額が 原則3,600万円まで の住宅に対応しています。
※近年の住宅価格の高騰を考えると、この金額上限は注意点の一つです。 - 保証限度額
・前払金:請負金額の30% または 1,100万円 のいずれか低い方
・増嵩工事費用:請負金額の10% または 200万円 のいずれか高い方
前払金と増嵩工事費用を合計して、
請負金額の30% または 1,100万円のいずれか低い金額 が保証限度となります。
我が家のように、前払い金を請負金額の50%支払ってしまっている場合、
全額が戻るわけではありません。
- 保証料(目安)
・約 100,000円〜
このほかに、工務店側の事業者登録料などが必要になるため、
実際には10万円以上かかるケースが多いと考えておいた方がよさそうです。
- 特徴
つなぎ融資との連携が進んでいる場合が多く、住宅ローンとの手続きがスムーズになるメリットがあります。
ただし、工務店倒産時には工事が一旦中断し、再開には施主自身で代替業者を探す必要があります。
② 住宅保証機構(まもりすまい)
タイプ
保険タイプ
- 対象住宅
個人が請負契約した新築一戸建住宅が対象で、金額の上限は特にありません。 - 保証限度額
Aタイプ
・増嵩工事費用のみ保証
・保証割合:請負金額の20% - Bタイプ
・増嵩工事費用+前払金の損害を保証
・保証割合:請負金額の40%
(内訳:増嵩工事費用20%、前払金20%)
仮に我が家のケースでBタイプを利用した場合、
請負金額3,600万円 × 前払金保証20% = 720万円が保証上限
という計算になるかと思います。
- 制度参加金
保証事故が発生しなかった場合、全額返金されます。
請負金額5,000万円以内
保証限度額 × 1/30
例
請負金額4,000万円
保証限度額800万円(保証割合20%)の場合
→ 800万円 × 1/30 = 約27万円(千円単位四捨五入)
請負金額5,000万円超〜1億5,000万円以内
5,000万円分は1/30、超過分は1/15で計算
- 保証料
保証料は以下の計算式で算出され、
保証割合や工期によって料率が変わります。
保証料 = 請負金額 × 保証割合 × 保証料率 × 消費税率
例
Bタイプ・保証割合40%・工期6か月以内
請負金額:2,000万円
保証限度額:800万円
800万円 × 0.5880% = 47,040円(税別)
- 特徴
国土交通省が指定する瑕疵保険法人による制度で、登録審査をクリアした工務店しか利用できません。
保証上限が比較的高く設定できるのがメリットですが、それでもすべての損害が保証されるわけではありません。
③ ハートシステム(エスクロータイプ)
- タイプ
エクスクロータイプ
- 対象住宅
一戸建て木造住宅が中心です。 - 保証限度額
支払った建築費を第三者機関(保証会社)が預かり、工事の出来高に合わせて
施主 → 保証会社 → 工務店・職人への支払いが行われます。
そのため、倒産時でも資金の流用リスクがゼロで、
施主が支払ったお金が本来の工事に使われないリスクを根本から防ぐ仕組みです。 - 保証料(目安)
・請負代金3,000万円以下:13万円(税抜)
・5,000万円未満:16万円(税抜) - 特徴
エスクロー方式は、保険タイプよりも建築資金の保全性が高い仕組みです。
倒産時にも工事がスムーズに継続されやすく、追加費用や工期遅延のリスクも抑えられる構造になっています。
「保険タイプ」と「エスクロータイプ」の違い(まとめ)
| 特徴 | 保険タイプ | エスクロータイプ |
|---|---|---|
| 資金管理 | 工務店 → 保証会社(倒産時に補填) | 第三者機関が直接管理 |
| リスク保全 | 工事中断後の補填 | リスク発生を未然に防止 |
| 工事再開 | 施主が探す必要あり | スムーズになりやすい |
| 支払資金の保全 | 上限あり | 実質全額保全 |
まとめ
住宅完成保証は、工務店倒産という最悪のリスクからあなたの資産を守るための重要なセーフティネットですが、「どこまで保証されるのか」「いくら戻るのか」には大きな差があります。
「完成保証がある=安心」ではなく、
内容を理解したうえで選ぶことが何より重要だと、私は実体験から強く感じています。

